バラ


夏になる少し前の話だけど、食事した帰りに人を車で家でまで送ったら、送ってくれたお礼にと、友人が庭に咲いていたバラをその場でチョキンチョキンと何本か切って、紙に包んでわたしにくれた。
良かったら見てく?と言ってくれたので、そのままお庭を歩かせてもらった。
そこはバラを何本か切り取ったところで景観になんら支障のないほどたくさんの植物が生い茂り、名前など覚えられないほど多種多様の植物が咲きみだれていた。一つ一つの名前や栽培法などを説明してもらったが如何せん花に愛情のないわたしは、バラとラベンダーぐらいしかわからなかった。青々と生い茂る芝生、アイアン製の鉢植え、バラのアーチや無造作に横たわるホース、ガレージには高そうなマウンテンバイクなど、いかにもなアイテム勢ぞろいなのに、嘘くさい点がひとつもなくて、キチガイじみた美しさとか、押し付けがましいロハスさとかそういうのもなくて、なんというか、確かなる庭だった。大いなる庭とか華麗なる庭じゃなくて、確かなる庭でした。まったく何一つ不審な点がなかった。ダンナさんと二人でこつこつと庭を造っているのだそう。愛に溢れる庭やったよまったく。

それで何が言いたかったかと言うと、感動したんです。人に花をいただくのはこんなにうれしいものなのかと。わたしは猫は走って追いかけれるけど…もし花がピューッと逃げたとしてもそれを突発的に走って追いかけれるほどの本能的な愛情はないなって。
愛情の注がれたものをもらったことがうれしかったのかも。とにかく人に花をもらうことの喜びを知ったのでした。