こんにちは赤ちゃん

一階下の奥さんがうちに挨拶に来てくれた。
「このたび、養子を迎えまして…」
抱っこされていたのは二ヶ月の赤ちゃんだった。
わたしは驚いて驚いて、エエェェェ!!と三回くらい後ずさってしまったが、おめでたいなぁと思い、改めて、おめでとうございます〜!と言い直した。事情は聞かなかったが、良かったですねェ…と声をかけた。
単純に考えれば、まぁ、何か子どもが出来ない産めない事情があって養子を迎えたのだろうから、おめでたいよね。もはや夫婦はわたしが知るところにいないのだろうけど、ただ、なんでかわからんけど、今までどれほどつらい思いをしたのだろうと、長々と考えてしまったよ。いや勝手な思い込みかもしれん。そしてこの子の親は?なぜ子どもを手離した?痛い思いをして生んだだろうに。いや、事情があったのだろうし、縁があったから一階下の方が親になったし、そして彼女にとってわたしは近所のおばさんだし、おめでたいことなのに、なんでかわからんが一日中へこんどった。
かんたんには言えないけど、最近人の痛みを真に受けすぎるようになった。人の痛みを受け止めすぎて、ずっと自分が痛い。偽善じゃない、気の利いたことは何も言えないし、事情を詳しく聞いたりすることもできない。ただボーッと、考えてしまう。