冬のおかあさん

おかあさんって冬でも変わらずにおかあさんだよね。そして冬は少しだけおかあさんがよりおかあさんになるよね。朝起きるともうすでに部屋があったかくて、結露が垂れるほど水蒸気が充満してる朝のあの感じとか、手をハーっとしてくれたり、コートの中に入れてくれたり、寒くても子どもに冬をマイナスイメージにさせず生活させてやれるってすごいよ。冬は冬を楽しんで(もちが伸びたり膨らんだりするおもしろさとか、湯たんぽを布団に入れたときの幸福感とか、手袋をはめる喜びとか)生活することを知らず知らずに子に教えながら冬生活をさせてやれるってのは、理想の親の像です。でもそんなのもしおかあさん検定があったら基礎中の基礎だよね。みんなやってるんだよね、すごいことです。
きょうはそんな理想像とは裏腹にあまりに冬の現実に耐えきれず(もちろん一日中暖房やストーブはつけているけど)、ママは寒いと固まりますからおやつの手間と晩ごはんの手間になったら動かしてくださいと頼んで、寝た。ただ、寒かろうという思いだけは強くあり、横になりながらも、もういいけんパジャマのあのあったかいやつ着ときなさい、ズボンの上からレッグウォーマー履いときなさいなどという指示は細かく出してた。途中でトイレットロールがないのを思い出して、それを買うために起き上がり、ただ黒いだけのつまらないダウンの上着を羽織り、厚手のタイツを履くために太めのスボンを履き、太めのスボンなのに裾をボアブーツにインしてドラッグストアに向かった。すぐに家に帰り、大仕事をしたような気になって、ドーナツを食べ、ミルクを飲みながら、毛布を羽織り、じっと映画を見た。
おばあちゃんのようだな、と思った。


月曜からはちゃんと冬のおかあさんになる。