悪の蕾

ずっと考えてきたけど、何かをうらんでいるのだと思った。
永く深く自分を抉った人、のぼせ上がった人、息子にしか興味のない人、いざというときわたしを守ってはくれなかった人、知らない人しかいない知らない土地、何をどうしていいかわからずに、でもだいたいのことは時間がたてば忘れるしわたしは今を生きてるのだと思い込ませて何年も生きてきた。でもやっぱ今のままじゃ駄目みたい。毎日毎日それらの人が言った、しびれるほど素敵でどうしようもなく電気ビリビリな名言集がドロドロした液体になり頭蓋骨の隙間に入り込んでいる。自分を否定したり肯定したりしてたけど、ただ時間が過ぎてるようにしか思えない。かっこ悪いのだけは嫌だから前を向いていた。でももう駄目みたい。バラバラになった言葉のドロドロを養分にして、きっともうすぐ蕾が開く。