気付いたら俺は、春にして君を思い出す。

長い一日のこと。5月3日に小沢くんを観に武道館まで行った話。

その日は忙しくて、というか忘れてばかりの日で、まずよりによってなぜかこの時期になんか漫画みたいに突然娘のクラスがインフルエンザによる学級閉鎖となった。もう小6なのでそこまで手がかかるわけではないのだがやはり一日家にいるとなるとそれなりに意識しますからなんかいろいろ気にかけつつ夕方から出掛けるために家事を早めに終わらせようと忙しくしていたところ、午前中人とお茶する約束を忘れていた。急いでお化粧して家にあったギリギリ持っていけそうな飲み物(ミルメーク)と申し訳程度のお菓子を袋につめて、お茶を忘れていたことで頭がいっぱいになって、小沢くんのことを忘れた。それで誰もミルメークを知らなくって、給食での定番なんてのもまさか知らなくって、なんかウケたのでよかったです。それが終わったら終わったことに安堵して、次は娘にお昼ごはんを食べさせなければとショッピングモールへ出掛けた。すると連休明けに家庭科で何がいるとかなんかもう服が小さいとか言い出して、ならもう今買えとなり、一通り買い物を終えてテラスで一息お茶飲みながらきょうの晩ごはんは鶏でいいかなとか考えながらサラサラと春風に吹かれてたら、そこで小沢くんのことを思い出した。急いで帰宅して化粧を直してもう服を着替える暇もなく出掛けようとしていたら夫が帰ってきた。夫はちゃんと覚えていたのです。えらい人。それで彼にバトンタッチして定期を借りて急いで電車に乗りホッと一息ついたところ、気付いたら俺はなんとなくボーダーだった。セントジェームズでもアニエスでもルミなんとかでもない、朝ささっとかぶったやつで。あーやってしまった、このままではなんだ、意識高い系サブカルなんとかの思う壺やと思ったけど、わたしはもう冷凍都市で日常を生きる6階の少女もとい4階のおばさんですからそのへんはもうどうでもよかった。とにかくルーティンとして武道館に行くことが目的だった。でももうそんな向井さえどうでもよくて、本当は沼にいます。小沢くん聴きながら軽快に電車に揺られるつもりがずっとA3!聴いてた。そしてそれは武道館に近づくにつれ意識高い系サブカル小沢小僧などが増え出したあたりから音量も上がりました。パッパッとパッとパッとね。いや合うんだよ、合うの。

それで。

自分の席は一番端のブロックの一番端っこの席だったので、なんだよ~と思っていたけど、まわりは超小沢くん愛に溢れた人ばかりで、特にノリノリでコールする男性ばかりで隣人に恵まれ楽しかったです。わたしはグッズも買わないしほぼ腕組して聴いていたけど、戦場のボーイズライフになるとどうしても感極まって両手を挙げて大合唱した。みんなが持ってたあのキラキラがとってもきれいで、確実に「幸福感」というか、幸せオーラってこんなんなんだろうなてのに包まれてたよ。カウントダウンで日常に戻されると、そこにはまたなんでもないボーダーを着てルーティンとして武道館にやって来てた自分が立ってた。

 

帰りの列にあんスタ!のキーホルダーをリュックにつけて足早に歩く自分くらいの年の女の人がいらっしゃって、友達になりたかったなあ。